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次世代软磁性材料社会実装推进センター


1.次世代软磁性材料社会実装推进センター


当センターは2022年4月に设立されました。优れた特性を持ちながらも実用化に至っていない软磁性材料に着目し、実用化を阻む壁となっている种々の技术的障壁を乗り越えて社会実装に到达するための研究を、大学の有する幅広い「知」の活用によって推进します。人材育成、知的财产権の创出、公司との连携など、教育及び产业の振兴にも贡献します。




2.研究绍介





软磁性材料とは鉄を代表とする、外部からの磁场によって磁石の性质を持ち、なおかつ磁场の変化に磁石の性质がよく追従する材料です。モーターやトランス、センサーなどの电磁気を応用した製品中で欠かせない材料であり、それらの製品のエネルギー効率や小型化に大きな影响を与えます。电気自动车の普及などからも明らかなように、运输机器をはじめとした身の回りの製品が电化していくなかで、软磁性材料の重要性はますます高まっており、新しい软磁性材料の开発が进んでいます。

软磁性材料をモーターやセンサーなどの製品の形にするためには种々の加工技术が必要になります。优れた软磁性材料が多くの研究者の努力によって开発されましたが、加工が困难であったり、加工によって优れた磁気特性を失ってしまったりする等の课题を越えられず、未だ社会実装に至っていない软磁性材料がたくさんあります。

本研究センターは”软磁性材料改良部门”、”鉄心成形部门”、”鉄心评価?解析部门”、”新世代鉄心用途调査部门”の四部门で构成され、材料からモノ作りまでを视野に入れた一体的な研究开発体制の下、実用化への壁を乗り越えられない次世代软磁性材料の社会実装を目指します。



软磁性材料改良部门


工学研究院物質工学専攻マテリアル工学コース 本塚智 准教授


● 研究内容
软磁性材料の高机能化を目指し、主にボールミルを使った组织制御を研究しています。

1.软磁性材料の偏平化
粉末状の软磁性材料の欠点として、反磁场が强い点が挙げられます。反磁场とは外部から磁场を作用させた际、それを打ち消すように材料内部に発生する磁场です。反磁场は外部磁场の方向に対して长い材料では弱くなるため、この点で板状の材料が优れています。これに対し、球状の材料は最も反磁场が大きくなってしまう形状であり、粉末は板と比较して球に近いため反磁场が强くなってしまいます。ボールミルは材料と硬质材料の球を容器中に入れ、その容器を运动させることで、球と材料を衝突させることができます。この时、粉末状の软磁性材料を板状にすることができます。このボールミルの特性を利用して、软磁性材料中の反磁场を抑制する研究を行っています。

2.磁化容易轴の制御
金属は金属原子の集合体ですが、その原子は周期的に配列しています。この配列に対して外部磁场を作用させると、磁気を帯びやすい方向と帯びにくい方向があることがわかります。磁気を帯びやすい方向を磁化容易轴と呼びます。さて、ボールミルで金属系の软磁性材料を処理すると板状に変形するのですが、それだけでなく原子の配列の方向を制御することができます。磁気を帯びやすい磁化容易轴と外部磁场の方向を揃えることで、软磁性材料の特性を改善することができます。このボールミル加工の特徴を活用して、金属系软磁性材料の特性の向上に取り组んでいます。

3.粉体特性と磁気特性の関係の解明
材料の形状には板や棒などがありますが、これらに対して粉体だけがもつ特徴として、表面积が大きい点が挙げられます。软磁性材料として粉体を扱う场合、子の表面积の大きさを考虑する必要があります。表面积が大きいと、材料が周囲物质と反応しやすくなったり、材料自身の磁気特性を変化させたりするためです。しかし、この粉体特性と磁気特性の関係はあまり调べられておりません。これを解明して、粉体を软磁性材料として応用するための基础データにしたいと考えています。

● 研究設備
远心ボールミル、アトリションミル、ポットミル、雰囲気炉、雰囲気ロータリーキルン、高真空炉、原子间力顕微镜、研磨机、光学顕微镜、グローブボックス、比表面积测定装置



鉄心成形部门


情報工学研究院知的システム工学専攻 楢原弘之 教授 (部門長)


● 研究内容
金型加工技术や3顿プリンタの応用技术を活用して、软磁性材料の成形に取り组みます。

1.软磁性材料の加工特性の评価

2.软磁性材料を用いた鉄心成形技术の研究

● 研究設備
金属アディディブ?マニュファクチャリング装置、レーザマーカー、マシニングセンター、ワイヤー放电加工机、射出成形机、3次元测定机、ワンショット3D形状测定机


工学研究院機械知能工学研究系 森直樹 教授


● 研究内容
一部の次世代软磁性材料は素材単体としては优れた特性を発挥するにもかかわらず、製品へ适用する际には加工することが要求されます。この加工工程においては様々なアプローチが有りますが、素材の特性を着しく损なうものが少なくありません。素材の特性を活かす加工のプロセスを评価し、その结果をほかの部门にフィードバックすることで、特性を失う原因を明らかにします。


1.素材単体の加工工程评価
素材の加工特性を様々な条件で评価します。

2.鉄心加工后の素材の特性评価
実使用の形状に加工した软磁性材料を使用条件に近い形で加工性能评価をします。実使用时には温度変化や様々な力が加わるなどの状况もありえるため、これらの相互関係も明らかにしていきます。

● 研究設備
工具动力计、各种工作机械、光学顕微镜


生命体工学研究科 生体機能応用工学専攻 安藤義人 准教授


● 研究内容
软磁性材料と树脂との组み合わせは多様な用途を生み出します。例えば、モーターやトランスの鉄心として応用するためには、软磁性材料を电気的に孤立させる絶縁技术が重要となり、そこで用いられるのがポリマー材料になります。また、ポリマー材料には絶縁性だけでなく、耐热性や细かい隙间に入り込む浸透性が要求されるため、接着剤、涂料、フィルムなど幅広い用途への展开が可能です。また、树脂との复合材は金属の加工に比べて加工しやすい特长があるため、环境にも优しくなります。

1.软磁性材料との树脂复合化
粉末状の软磁性材料と树脂を溶融混錬することによって树脂でありながら、磁性を持つ材料を作ることができます。様々な树脂との组み合わせを行うことで放热性树脂シートや磁性を持つ树脂成形体、さらにはそれらの特徴を持つ贵顿惭方式の3顿プリンタ用フィラメント材などの开発を行っています。

2.树脂界面と软磁性材料界面との接着性
软磁性材料をはじめとする金属の表面は酸化皮膜で覆われています。その酸化被膜と亲和性の高い树脂材料を组み合わせることは、シートや粒子など形状が异なっていても材料同士を强く接着することができます。また、きれいに树脂で表面を被覆することで材料の絶縁性を生み出し、材料表面を保护することもできます。现在は、软磁性材料に対して亲和性の高い树脂と组み合わせた絶縁性を持つ材料の开発を行っています。

● 研究設備
小型二轴エクストルーダー、中型二轴エクストルーダー、自动乳鉢、ポットミル、オートクレーブ、ホモジナイザー、冻结乾燥机、远心分离机、ゲル透过クロマトグラフィー、接触角测定装置、引张试験机、フーリエ変换赤外分光光度计、紫外可视分光光度计、顕微贵罢滨搁、サイクリックボルタンメトリー、スピンコーター、热プレス机、热重量分析机、电子顕微镜、原子间力顕微镜、齿线回折装置、小型射出成型机



鉄心评価?解析部门


工学研究院電気電子工学専攻 竹澤昌晃 教授


● 研究内容
一部の次世代软磁性材料は素材単体としては优れた特性を発挥するにもかかわらず、鉄心などに加工するとその特性を着しく损なうものが少なくありません。碍别谤谤効果顕微镜と呼ばれる、材料の磁化の様子を直接観察できる手法を活用して、なぜ加工によって磁気特性が损なわれるのかを明らかにします。

1.磁気碍别谤谤効果顕微镜を用いた软磁性材料の磁区観察技术
磁気碍别谤谤効果顕微镜は磁性材料の磁化の変化を直接観察(磁気イメージング、磁区観察)できる强力なツールですが、鲜明な磁気イメージング像を得るためには试料表面を研磨により镜面状态にする必要があります。しかし、最适でない机械研磨や试料の観察治具への固定は、试料に机械的な歪みを与えてしまいます。磁区観察によって软磁性材料の磁気特性分布を正确に评価するためには、これらの歪みの影响を取り除くことが重要であり、软磁性材料の种类によって异なる最适な研磨条件や试料の最适な固定方法などを検讨する必要があります。さらには、软磁性材料をモータや変圧器へ适用した际の実机状态での観察も可能とするような顕微镜の试料ステージを开発も望まれます。これらの研究を通じて、软磁性材料の磁区観察技术の确立を目指します。

2.磁区観察による软磁性材料の局所磁気特性分布の评価
软磁性材料の磁気特性は、磁性体内部の「磁区(微小な磁気モーメントの方向が揃った领域)」の构造によって大きな影响を受けます。磁区构造は软磁性材料の结晶组织や粒径、形状、さらには材料に加えられる热や歪みの影响を受けて大きく変化するため、磁性材料の特性発现の原理を明らかにするためには磁区の可视化(磁気イメージング)が非常に有用な手段となります。磁気碍别谤谤効果を利用した磁区観察によって软磁性材料の磁気特性発现の原理を明らかにして、最适な材料开発の指针を得ることを目指します。

3.実机の鉄心(磁性体コア)を想定した磁気特性评価
软磁性材料をモータや変圧器などに适用する场合、それら材料を鉄心(磁性体コア)形状に成形?加工する必要がありますが、その工程で软磁性材料が本来有している磁気特性が劣化してしまうことが度々起こります。これは、成形?加工によって软磁性材料の结晶组织が変化したり局所的に歪みが导入されたりすることによって起こると考えられていますが、その原因を解明するためには実机の鉄心そのものの局所的な磁気特性を评価する必要があります。磁区観察はこの局所的磁気特性评価に有用な手段であり、これにより加工?成形による磁気特性劣化の原因を解明することで、最适な鉄心の加工?成形法を确立することを目指します。

● 研究設備
磁気碍别谤谤効果顕微镜、研磨机、低速精密切断机、热処理装置、振动试料型磁力计、直流磁化曲线测定装置、インピーダンスアナライザ、真空蒸着装置、スパッタ装置、高周波诱导加热式合金溶解炉、単ロール急冷装置、回転液中纺糸装置


生命体工学研究科生体機能応用工学専攻 佐々木巌 客員教授


● 研究内容
一部の次世代软磁性材料は素材単体としては优れた特性を発挥するにもかかわらず、実使用の形状に加工するとその特性を着しく损なうものが少なくありません。加工前后の磁気特性を评価し、その结果をほかの部门にフィードバックすることで、特性を失う原因を明らかにします。また、様々な磁性材料において软磁性材料がどうして外部からの磁场によって磁石の性质を持ち、なおかつ磁场の変化に磁石の性质がよく追従するのかという根本的な问题にも兴味を持って研究を进めています。

1.素材単体の磁気特性评価
素材の磁気特性を様々な条件で测定します。

2.鉄心加工后の磁気特性评価
実使用の形状に加工した软磁性材料を使用条件に近い形で磁気特性评価をします。実使用时には温度変化や力が加わるなどの状况もありえるため、これらの影响も明らかにしていきます。

3.软磁性材料の特性発现メカニズムの解明
软磁性材料は鉄やその合金が利用されます。これらの合金は纯度や组织形态により磁気特性が変化することが知られていますが、その详细が统一的に明らかになっているとは言えません。高纯度鉄シリコン合金を调べる事により软磁性特性発现のメカニズムを调べています。

● 研究設備
振动试料型磁力计、研磨机、光学顕微镜



新世代鉄心用途调査部门


● 研究内容
新世代鉄心用途调査部门では、各部門のメンバーの知見および研究から得られた知見を活用して、軟磁性材の新たな用途を探索します。



3.メンバー


软磁性素材改良部门


● 工学研究院物質工学専攻マテリアル工学コース 本塚智 准教授
< 略 歴 >
2002年3月に福井工業高等専門学校を卒業、2004年3月に豊橋技術科学大学の学部課程を卒業後、2006年に東北大学で博士前期課程を修了し、2006年から2010年まで日本ガイシ㈱の設計部門に勤務。2010年から岐阜工業高等専門学校に助教として着任し、2013年に東京工業大学にて博士(工学)の学位を取得。2019年に九州工业大学工学研究院にテニュアトラック准教授として着任。2021年にテニュア取得、2022年に次世代软磁性材料社会実装推进センターのセンター長に着任。主に金属および無機材料の粉体を対象に、その界面で誘起されるメカノケミカル現象の解明を研究の核とし、それを応用しての新規機能性材料の開発に取り組んでいます。


准教授 本塚 智



鉄心成形部门


● 情報工学研究院知的システム工学専攻 楢原弘之 教授 
< 略 歴 >
1987年3月に東京大学にて修士課程を終了後、1988年4月北海道大学工学部精密工学科助手、1995年3月に北海道大学にて博士(工学)の学位を取得後、1996年10月に九州工业大学情报工学部機械システム工学科助教授に着任、2007年教授となり現在に至る。アディティブ?マニュファクチャリング、ロバスト品質設計、型技術の研究で、高付加価値なものづくりを実現する取り組みを行っています。


教授 楢原 弘之



● 工学研究院機械知能工学研究系 森直樹 教授
< 略 歴 >
1984年にアイシン高丘で勤務、1986年からメイホーに勤務し、2001年にFAIS(北九州産業学術推進機構)に勤務。2014年より九州工业大学工学研究院に教授として着任。
プラスチック成形加工に関しては、射出成形における新规成形システム、成形品の物性、精度向上、流动解析及び成形品の强度解析などに取り组んでいます。微细加工に関しては 微细工具の开発、切削加工のシュミレーション、难加工材の切削に取り组んでおります。また、机械要素に関する研究として、螺子の缓み止めに関する机构、部品の设计公差、适正化などに取り组んでいます。


教授 森 直樹


● 生命体工学研究科 生体機能応用工学専攻 安藤義人 准教授
※アドバイザリースタッフ
< 略 歴 >
2002年3月に宮崎大学にて博士(工学)の学位を取得後、近畿大学分子工学研究所にて博士研究員、2007年に同所助教に着任。2010年九州工业大学エコタウン実証研究センター?准教授に着任。2015年マレーシア?サテライトキャンパスMSSC副オフィス長を兼務。2017年イノベーション推進機構(現オープンイノベーション推進機構)の准教授に着任。2020年MSSCオフィス長、グリーンマテリアル研究センターのセンター長を兼務。有機化学、高分子化学の分野を背景にバイオマスという材料の特性を理解し、応用した機能性材料の開発を進めています。


准教授 安藤 義人



● 工学研究院電気電子工学専攻 竹澤昌晃 教授 
< 略 歴 >
1999年3月に東北大学にて博士(工学)の学位を取得後、東北大学電気通信研究所にて助手、同年12月に九州工业大学助手に着任。2008年4月同大学准教授、2016年5月同大学教授、現在に至る。磁気Kerr効果顕微鏡を用いた磁区観察を研究の核として、主として磁気工学の研究に従事しています。
电気?ハイブリッド自动车の駆动モータに用いられる磁石?鉄心材料や、医疗用环境磁気计测に用いられる磁気センサなどの性能向上を目指して、高性能な磁性材料の开発とその磁気特性の评価の両面から研究を进めています。特に磁気特性评価について、磁気光学効果(磁気碍别谤谤効果)を利用した磁気イメージング顕微镜を用いて磁性材料のミクロな磁化情报を明らかにすることで、高性能な磁性材料の设计指针を导出しています。


教授 竹澤 昌晃



软磁性素材改良部门


● 生命体工学研究科生体機能応用工学専攻 佐々木巌 客員教授 
< 略 歴 >
1988年3月に山口大学の修士課程を修了後,現在の安川電機に勤務。2001年に広島大学にて博士(学術)の学位を取得。2011年から九州工业大学大学院生命体工学研究科で客員教授を併任。マイクロ?ナノスケールで出現する特異な現象を利用し、モータやロボットといったメカトロニクス分野で使用される機器の性能アップを目指しています。特に、磁性材料?センサ材料?固体潤滑材料などの機能性材料に興味を持って、実験的に特性向上のメカニズム検証をしています。


客員教授 佐々木 巌

新世代鉄心用途调査部门


● 工学研究院電気電子工学専攻 小森望充 教授
< 略 歴 >
1984年に大阪大学基礎工学研究科(制御機器)博士前期課程修了後,日本国有鉄道技術研究所入社,九州大学にて1994年に博士(工学)を取得後,1995年に九州工业大学情报工学部機械システム工学科助教授,2003年に九州工业大学工学研究科機能システム創成工学専攻教授,2019年に電気電子工学科教授に就任。主に電磁力を用いた機器?アクチュエータ,磁気軸受や磁気浮上に関する教育?研究に従事しています。


客員教授 佐々木 巌



外部研究员


● 名古屋工業大学 大学院工学研究科 物理工学専攻/物理工学教育類 佐藤尚 准教授
< 略 歴 >
2004年3月に东京工业大学にて博士(工学)の学位を取得后、同年に东京工业大学、マックスプランク鉄钢研究所にて研究员、2005年5月に名古屋工业大学助教に着任。2009年4月同大学准教授、现在に至る。


客員教授 佐々木 巌




4.研究业绩


2021

1.Satoshi Motozuka, Yuki Mako, Hisashi Sato, Hirofumi Hojo, Yasuo Okazaki, “Effect of lubricant milling aids on the recrystallization behavior and magnetic properties of ball-milled iron powders having (0 0 1) fiber texture for soft magnetic composite”, Journal of Magnetism and Magnetic Materials 521, 167548 (2021) .

2.Satoshi Motozuka, Hisahi Sato, Hidenori Kuwata, Mitsuo Bito, Yasuo Okazaki, “Motozuka, Satoshi, et al. "Preparation of flake-shaped Fe-based nanocrystalline soft magnetic alloy particles subjected to plastic deformation”, Philosophical Magazine Letters in press (2021).


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